ライトの系譜

アントニン・レーモンド(1888-1976)
ノエミ・レーモンド(1889-1980)

1919年、レーモンド夫妻は、帝国ホテル建設のため、フランク・ロイド・ライトとともに来日しました。1973年に日本を去るまで、主として日本で過ごしながら、数多くの近代建築を設計してきた日本近代建築の生みの親であり、常に指導的立場で活躍した建築家です。

アメリカの建築技術や新しい材料を日本に導入し、国産化しては創造的で意欲あふれる作品を次々と設計しました。その作品は、日本人建築家の規範となり、日本近代建築に多大な影響を与えました。仕事に対して極めて厳格で一分の妥協もなく、つねに自分の信念をつらぬいた建築家でした。

吉村順三先生は、1931年にレーモンド事務所に入所し、11年間働いた師弟関係にあります。前川國男さん、杉山雅則さん、増沢洵さんなど、日本建築界の大家といわれる人たちもレーモンドと師弟関係にあり、その先生方のもとに次の世代が育ちました。

日本を愛し、日本建築から生まれたレーモンドのデザイン哲学は、「最も完結にして、直裁、機能的にして経済的、かつ自然なるもののみが真に完き美を有する」というものでした。この彼のデザインの五原則「自然、単純、直裁、正直、経済的」こそが、彼の近代建築の原理でした。

主な作品
1923年 霊南坂の自邸
1933年 軽井沢夏の家
1933年 聖ポール教会
1938年 東京女子大学講堂およびチャペル
1949年 リーダーズ・ダイジェスト社屋
1950年 麻布の自邸兼アトリエ
1954年 聖アンセルモ教会
1961年 群馬音楽センター
1962年 南山大学
1965年 新発田カトリック教会

(KK)